複雑系の思い出
『複雑系』に関しては、色々と思い出がある。
この『複雑系』ほど、良い評判だけを聞く専門書もない。大抵どの専門書にも批判めいたことを述べる向きはあるものだが、これに関しては、世代を問わず聞いたことが寡聞にしてない。
これまで聞いた良い評判を思い出すと、幾つか思い浮かぶ。
1度目は、大学院時代、社会情報理論に関する御大が、ご機嫌に話をする中で、この『複雑系』の話が出た。当然、面白いから是非読んでごらんと言う。ノーベル経済学賞と物理学賞を受賞した人達の卓越した議論が参考になるとその日一日は、そうした話ばかりだった。
2度目は、T先生の大学院講義に参加させて頂いた時である。最初のイントロダクションでいきなり、この『複雑系』の話だった。最近読んだ中では一番面白い本だね、とやはり先の御大同様ご機嫌だった。お得意のお手製シミュレーションプログラムを幾つか走らせて、やっぱり何故かご機嫌だった。
両方の先生に共通しているのは、かたちがないところにかたちが出来ていく様を面白がる点ではないかと思う。そして、僕にもそれは共通している。こうしたものを見て何も感じない人や、「だから?」という人は、こうした研究分野に縁のない人である。構造の創成と、変動、そして創発特性。これらの醍醐味は、確かにこれまでの研究を通じて、こうした先生の話の中で考えてきたことには違いないと思う。逆に、両先生の相違は、比較的理論を重んじているか、シミュレーションを重んじているかではないかと思っている。
僕自身も、これらの話を聞くまでに一度大学の図書館で借り出して読んでいて、『カオス : 新しい科学をつくる』(新潮社)と同様に面白い本だと感じていた。
一番興味深かったのは、遺伝的アルゴリズムの創始者とされるホランドである。途中から登場してくる彼の存在は、本の終わりに近づくにつれ、日増しにその存在が大きくなっていく感じがした。
ホランドは、心理学、認知科学系の方面でも顔を出す人で、『インダクション』とか、いろいろな本でも執筆者として登場する。
僕もJavaで試しに作ってみたものをWeb上で既に公開しているので、良かったら見てください。
(http://homepage3.nifty.com/~shibuya-kazuhiko/delve/sim/Mandel.htm)


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